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  • 2019年12月23日(月)
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今週の一冊 笙野頼子『笙野頼子三冠小説集』

 
こんにちは!二年のWです。
BPのブログは毎週更新を目標に掲げました。
今週は特段イベントやお知らせもないので、最近読んだ本をご紹介したいと思います!
 
笙野頼子『笙野頼子三冠小説集』(河出書房新社、2007年)
芥川賞受賞作「タイムスリップ・コンビナート」、三島由紀夫賞受賞作「二百回忌」、野間文芸新人賞受賞作「なにもしてない」の三作がセットになった短編集です。どれも言葉が多彩でとても面白かったのですが、特に私が好きだったのは「二百回忌」でした。
 
この作品の主人公の家では二百回忌の法事で時間がめちゃめちゃに混ざりあい、死んだはずの先祖が皆蘇ってきます。ただの里帰りもそのときばかりは大変で、時間の歪みのせいで複雑怪奇な経路をたどる必要があるようです。そして法事の間は何もかもを常識外れに華やかに、めでたく、賑やかにしなければならないのだとか。
主人公がそんな狂気じみた行事に行こうと決めたのは、亡くなった祖母に会うためでした。赤い喪服、赤いストッキング、赤いハンカチを身につけ参加した二百回忌で、主人公は祖母の姿を見つけますが……
 
「二百回忌」をはじめ、どれも筋を追うだけでも楽しいと思いますが、言葉に注目していくとまた違ったおもしろさがある小説です。そして三作とも「時間」がひとつのテーマになっています。平成から令和へ、移り変わる年の締めくくりにぜひ読んでみてほしい本です。

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